水彩絵の具の耐光性



絵の具の耐光性とは、絵を長い間明るいところにさらしておいても、褪色せずに、いつまでも鮮やかな色合いを保っていられる度合いのことをいいます。俗に「色持ちが良い」などともいいます。

絵の具によっては、耐光性の高いものと、低いものとがあって、低いものには、みるみる間に褪色して、もとの色彩の大部分を失うようなものもあります。折角苦心して描いた傑作も、色が褪せてしまったのでは、その価値は台無しです。ですから、絵の具を選ぶ際には、耐光性に十分な注意を払う必要があります。

通常、市販の水彩絵の具には、必ず耐光性の表示があります。ホルベインの製品には、星の数をもって、耐光性が五段階で示されていますし、クサカベの製品は、四段階の言葉で表しています。

水彩絵の具の耐光性は、自分自身の手と目によっても確認することができます。そんなに難しくはありませんので、そのテストの仕方を紹介しましょう。

用意するものは、額縁、ガラスのカバー(アクリルは不可)、コットン100パーセント・アシッドフリーの水彩紙(300グラム以上)、アルミ製のテープです。

まず水彩紙に絵の具を塗ります。各色は同じ濃度にしなければなりません。絵の具1に対して水8の割合がいいようです。塗った色の部分の半分くらいを、アルミテープで目隠しします。紙に直接貼るのではなく、色に対応するガラスカバーの部分にテープを貼り、光を遮断するようにしましょう。(下の絵のようなイメージになります)


これを額縁に納めて、安定した光の下にさらします。直射日光の当たらない、明るい日陰にさらすようにしましょう。期間は4ヶ月程度です。

このテストの結果、目隠しした部分と光にさらした部分があまり異ならないのは、耐光性が高い証拠です。逆に、両者の差が大きくなるほど、耐光性も低くなります。中には、光にさらした部分が、かすれにかすれて、殆どもとの色の痕跡を残さなくなるものもあります。

一般的には、アースカラーや金属化合物は耐光性が高く、自然の植物などからつくった染料系の絵の具は耐光性が低い傾向がありますが、その度合いは、メーカーや原料によってまちまちであり、ひとつひとつ確かめる必要があります。

(個々の絵の具の耐光性については、「ブランド比較」の項で言及します。)






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